診査診断をしっかりと

    はじめてみてから「やっぱりこうだった」「予測と違った」とならないように

    診査診断

    矯正治療は、一度始めてしまうと簡単にやり直せるものではありません。患者さんの精神的な苦痛、無駄な費用の出費はもちろんのこと、無駄に歯を動かすことで、肉体的にも大きなダメージを受けてしまいます。

    だからこそ、矯正治療を始める前に、どのような装置を使ってどのように歯を動かしていくのか、しっかりとした治療計画を立て、それに沿って治療を進めていく必要があるのです。

     

    診査診断のあまさにより、理想のゴールにたどり着けていない症例が多い。

    • 「矯正治療をしたら、食べ物が噛めなくなってしまった。」
    • 「最初の説明と違う結果になってしまった。」
    • 「口が閉じにくくなってしまった。」

    最近は、このようなご相談をいただくことが多くなってきました。

    矯正治療を成功させるためには、医師だけの力ではなく、患者さんの協力による部分が非常に大きいです。

    ですが、患者さんがどんなに頑張っても、どんなに一生懸命治そうとしても、そもそもの治療計画、治療予測が適切にできていなければ、それはすべて無駄な努力となってしまうのです。

    矯正治療について適切な教育を受けており、相応の実績と経験のある歯科医師であれば、歯がどのように動き、どのようなお口元になるのか、また、どのぐらいの期間がかかるのかなど、あらかじめ予測が出来ます。「とりあえず歯を動かしてみる」「とりあえず顎を広げてみる」といった治療は大変危険です。

    矯正治療を始められる際には、担当の歯科医師に「治療の目的、ゴール」をしっかり確認し、納得したうえで開始するようにしましょう。

     

    精密検査では、ここもチェック

    噛み合わせの機能診断

    噛み合わせの機能診断

    「食事をするときにいつも噛んでいるあごの位置と、リラックスした状態の顎あごの位置が違う。」

    歯並びに何かしらの問題を抱えていらっしゃる患者さんは、嚙み合わせにも問題がある場合がほとんどです。

    ですので当然、歯型の模型を取って検査分析する際も、「噛んでください」といって噛んだ位置が、正しい噛み合わせの位置ではなかったという場合も多いです。

    そのような場合、きちんと噛み合わせの位置の分析をせず、そのまま、その間違った位置で噛み合わせを構築してしまうと、矯正治療後に、顎に痛みや不快を感じるようになってしまう可能性があります。


    噛み合わせの状態を診断する顎態模型(マウント模型)

    顎態模型(マウント模型)

    精密検査の際、たいていの歯科医院では歯型の模型を作成するかと思いますが、実は一言で模型といっても、さまざまな種類があります。

    主には、平行模型、顎態模型(マウント模型)などが矯正の分析に使われる模型ですが、検査時にどのような模型を作成するかは担当医の考え方により異なります。

    中には、一番スタンダードである「平行模型」のみで診査診断している医院も多いようですが、当院では、精密検査の際には、必ず顎態模型を作成し、現在の嚙み合わせの状態や機能を分析するようにしております。

顎態模型(咬合器マウント模型)とは

    患者さんの現在の噛み合せの状態や、顎の関節の動きを客観的に再現するため、顎と下顎がどのようについているかを動的、3次元的に確認することが出来ます。

    平行模型に比べて作成の手間は非常にかかりますが、得られる情報は非常に多いため、当院ではすべての患者さんに対し、必ず顎態模型を作成して分析・診断しております。

    矯正をしたら顎が痛くなって物が噛めなくなってしまった、というようなトラブルを防ぐためにも、事前にしっかりと正しい噛み合わせの位置を診断することは必要なことと考えています。

 

CT画像で解る「歯根吸収」リスク

「矯正治療をしたら、歯の根が溶けてしまった。」

矯正治療をご検討中の方であれば、このようなお話を耳にしたこともあるのではないでしょうか?

上記のような現象は歯根吸収と呼ばれるもので、歯の根っこの部分(歯根)が溶け、短くなってしまう状態のことを言います。

歯根吸収は、炎症や外傷、埋伏歯など、さまざまな要因によって引き起こされるものですが、実は、矯正治療も、この歯根吸収を引き起こしてしまうリスクを抱えている治療なのです。

その原因は今のところ、はっきりと解明されてはいないのですが、歯に対する力のかけ方や、無駄な動きが大きすぎること等が起因しているのではないかともいわれております。

歯根吸収

 

歯根吸収のリスクについて

CT

根っこが短くなっているわけですから、当然、歯の寿命にもかかわってきます。

当院ではCTを導入しておりますので、初診の時には必ずCT撮影をし、歯の状態や歯根の長さを必ずチェックしております。

CTを取ると、「歯根吸収」の状態がとてもよくわかるんですね。中には、初診の段階ですでに歯根の長さが短い人もいます。特に、上の前歯に多いのですが、もともと短いと知っていながら、矯正をしてさらに短くしてしまい、将来、その歯の持ちを悪くしてしまうというのは大変リスクです。

そういった場合には、必ずその状態を患者さんに説明し、どのように治療をしていくか、複数の選択肢をご提案しております。

 

歯が動く仕組みと歯根吸収

矯正治療において、歯根吸収のリスクは避けられないものとされておりますが、それは、歯が動くメカニズムと関係しております。

矯正治療は、もともと身体に備わっている「骨の新陳代謝」を利用して歯を動かす治療です。骨は、一定以上の圧力がかかると「吸収」という現象を起こして、骨を溶かして圧力を軽減しようとします。また、同時に、スペースの空いたところでは、骨が新しく作られてスペースを埋める働きをします。

歯が動く仕組み

このように、歯根が動く側の骨が溶け、同時に反対側の骨が作られる、という作業が繰り返されて歯が動いているわけなのですが、この時、歯根も少なからず、ダメージを受けているのです。

通常、矯正治療が原因での歯根吸収は、レントゲン写真を見てもほとんどわからないレベルしか起きませんので、それほど大きな問題にはなりません。

ですが、リスクを秘めているのは事実です。

当院では、治療開始から1年後程度にレントゲンを必ず撮影し、治療経過を確認しています。万が一、強い歯根吸収像がある場合は、治療方針を再検討する事もあります。

→納得いくまでご説明へ

 

舌の癖がないか?

舌の癖
  • 当初の説明よりも治療期間が長引いている
  • 治療後、すぐに歯並びが元に戻ってしまった

矯正治療のトラブルケースとして、とても多いケースです。

治療が長引いたり、後戻りしてしまったりする原因はさまざまですが、その要因の一つとして「舌癖」も挙げられます。

舌癖とは、本来の舌の位置とは違った場所に舌を置いていたり、舌を押し出してしまう癖のことを言います。不正咬合の患者さんは、ほとんどの方が、なにかしらの舌癖を持っており、その癖が原因となって不正咬合を引き起こしているケースも多いです。

矯正治療を行う際に、その原因となっている舌癖を治さずに治療を進めても、治療期間が長引いてしまうだけではなく、せっかくキレイになった歯並びも、その癖のせいで、また元の歯並びに戻ってしまうこともあるのです。

当院では、初診時に、歯並びに影響を与えるような舌癖がないか、ある場合は、どのような癖があるのかを必ずチェックいたします。そして、矯正治療と同時に、舌癖トレーニングも行い、スムーズに、安定した歯並びを構築できるようサポートしております。

→後戻りを防ぐためにへ
→舌癖トレーニング(MFT)へ

 

今、矯正治療をはじめるべきか?

矯正治療をはじめるべきか
  • 3歳児検診で、不正咬合と指摘された
  • ウチの子の歯並びが気になる

お子様の歯並びが気になるお親御さんの中には、まだ乳歯の段階でも「なるべく早期に治療をした方が良いでのは」と心配されていらっしゃる方も多くいらっしゃるかと思います。

当院にも、そのようなお悩みでいらっしゃる方が多くいらっしゃいますが、たいていは今すぐの対策は必要のないケースで「成長の様子を診ましょう」とお伝えする場合がほとんどです。

歯科医師の中には、「今のうちから治療をしましょう」「顎を拡大させましょう」と治療をすすめる方もいらっしゃるようですが、この時期に治療を開始し、一時的に不正咬合が改善したとしても、小学校に入学する頃に永久歯が生えてくると、また不正咬合になってしまうという場合がほとんど。矯正治療は、本人にとっても、親御さんにとっても、決して負担の少ない治療ではありません。まだ乳歯の段階であれば、矯正治療を考えるのではなく、歯並びを悪化させてしまう癖の改善や生活習慣の改善に注力して取り組むことをおススメいたします。

ただし、乳歯の場合でも交叉咬合(上の歯列の幅と、下の歯列の幅があっていない)場合は早めに対策するべきですので、お子様の歯並びについて気になる場合は、一度、矯正治療を専門に行う歯科医師に相談をしてみましょう。

→適切な開始時期へ

 

悪い所、リスクはすべて伝えます。

リスクはすべて伝えます

当院に相談に来られる患者さんは、見た目を気にされていらっしゃる方がほとんどなのですが、実は、ご本人が治したいと気にされている部分と、専門家の私たちから見て、医学的に治した方がいいと判断する部分とが違っている、というケースが多々あります。

「審美性」はあくまで人の価値観によるところが大きいですが、「嚙み合わせ」の場合は、ご本人は、生まれてからずっとその嚙み合わせで生きてきて、それが普通だと思っているわけですので、ご自分の嚙み合わせが悪いということに気が付いていない場合がほとんどなんですね。

矯正治療をやって、「こんなに噛めるんだ」ということに初めて気が付かれる患者さんも多いです。

当院では、カウンセリングをする際には、患者さんの気にされている部分、ご要望をお聞きするのはもちろんのことですが、診断の結果、医学的に改善した方が良いと思われる部分は、リスクも含めて全てお伝えするようにしております。

その上で、患者さんに治療をするかしないか、判断してもらっています。

→納得いくまでご説明にリンク


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